フィービー・ファイロのドレス姿を想像するのは難しいかもしれない。しかし、まだ駆け出しの頃のパリ時代にはお腹見せデザインのトップなど、ドレス以上に今の彼女のイメージからかけ離れているアイテムも着用していた。「20代はとにかく慌ただしかったです」と2005年に『VOGUE』に語ったファイロはその後すぐ、家族との時間を優先し「人生の基盤を整える」ために3年間デザイナー活動を休止。2008年にセリーヌ(CELINE)のクリエイティブ・ディレクターとして復帰した。そこで自称“働くデザイナー”の彼女は、トレンドに左右されるファストファッションよりも、着やすさと実用性を重視する、自身のような現代女性のための上質なワードローブを作り始めた。
ではファイロ自身は、実際どのようにこの哲学を自分のワードローブに取り入れているのだろうか。一言で言えば「一貫性」だ。「とにかくメンズウェアが大好きなんです」と以前語った彼女は、ユニフォームのように徹底された、ほぼモノクロのスタイルを好んで纏っている。白シャツ、バイカージャケット、着心地のいいセーターなどをメンズアイテムと合わせ、スニーカーやビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)、ときには自身が手がけたカルト的人気を誇るシューズでコーデを完成させることが多い。“エフォートレス”という言葉はこの業界では多用されているが、移り変わっていくトレンドに流されるのではなく、自分に似合う服を着るファイロを表現するのにふさわしい言葉だ。
2017年にセリーヌを去って以来、露出を控えているファイロ。「ファッション界の神託者であり、スフィンクスのように謎めいた存在」と『VOGUE』が評した彼女のスタイル変遷を振り返る。
1999年
セントラル セント マーチンズ(CENTRAL SAINT MARTINS)在学時からの友人で、公私ともに親しい間柄のステラ・マッカートニーと、当時二人が在籍していたクロエ(CHLOÉ)のニューヨーク店のオープニングにて。
2002年
2003年春夏パリコレクションのバックステージにて。
2003年
クロエ 2004年春夏パリコレクションのショーにて。
2004年
クロエ 2004-05年秋冬パリコレクションのショーにて。
2004年
クロエ 2005年春夏パリコレクションのショーにて。
2005年
ファッションジャーナリストのヘイミッシュ・ボウルズとメットガラにて。
2005年
ロンドンで行われたブリティッシュ・ファッション・アワードにて。
2011年
セリーヌ 2011-12年秋冬パリコレクションのショーにて。
2011年
ニューヨークで開催されたCFDAアワードにて。
2014年
夫のマックス・ウィグラムと2015年春夏ロンドンコレクションで行われたソランジェ・アザグリー・パートリッジ(SOLANGE AZAGURY-PARTRIDGE)初のメンズプレゼンテーションにて。
2014年
セリーヌの2017年春夏パリコレクションのショーにて。
2023年
作家キム・シオンのバースデーパーティーにて。
この記事は2016年3月5日に掲載されたものをアップデートしたものです。
Text: Laird Borrelli-Persson Adaptation: Anzu Kawano
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